糖尿病の生涯医療費は1千万円レベル。糖尿病合併症が医療費を増やす。

糖尿病の生涯医療費は1千万円レベル。糖尿病合併症が医療費を増やす。

2型糖尿病患者の生涯医療費に関するレポートがアメリカから発表されました。
日本国内の状況はどうなのかも調べてまとめてみました。

 

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2型糖尿病患者1人あたりの生涯医療費の平均は約830万円(8万5,000ドル)で、このうち半分以上(53%)は糖尿病合併症によることが、米国で行われた調査であきらかになった。

 

調査は、米国全国健康・栄養調査(NHANES)の2009~2010年のデータをもとに、2型糖尿病患者1人あたりの生涯の直接医療費を、年齢や性別、糖尿病合併症などの観点からシュミレートし算出したもの。

 

調査によると、発症年齢別の生涯医療費の平均は以下のような結果でした
(日本円に換算しています)
25~44歳で:男性1,220万円、女性1,280万円
45~54歳で:男性1,040万円、女性1,080万円
55~64歳で:男性820万円、女性840万円
65歳以上で:男性540万円、女性550万円

 

2012年のアメリカの糖尿病による直接医療費は17兆2,480億円(1,760億ドル)で、医療費以外の経済的な損失は6兆7,620億円(690億ドル)。
参考:糖尿病ネットワークhttp://www.dm-net.co.jp/calendar/2013/020655.php

 

一方、日本の現在の成人糖尿病人口は720万人。
国民医療費のうち、糖尿病の医療費は1兆2149億円(前年度 1兆1854億円)で、前年度に比べ295億円増加したそうです。

 

アメリカの調査でも報告されていますが、糖尿病合併症を発症しなければ、あるいは発症を遅らせることができれば、それだけ医療費を安く抑えられます。
糖尿病合併症のある患者とない患者の医療費を比べると、年間10万円以上の差がでてくるといわれています。

 

 

ある糖尿病患者の医療費の例

 

テレビ番組「たけしの本当は怖い家庭の医学」で特集された糖尿病患者の男性46歳のケースを紹介します。

 

S.Aさんは46歳で血糖値がボーダーラインをわずかに超え、医師から薬を使わない食事療法と運動で治療をスタートしたものの、運動はサボりがち。
食事療法もきちんとやる努力をしなかったため、血糖降下剤が手放せない状況になりました。

 

それでも薬を決められた通りに服用せず、53歳で高脂血症と脂質異常症も併発しました。
4年後にはついに糖尿病合併症を発症。この合併症にレーザー治療が必要になり治療費が跳ね上がります。

 

70歳で亡くなったこの方の生涯治療費は1500万円近くに。
(年齢と所得によって自己負担は1~3割)

 

もしこの方が医師の指示をきちんと守っていれば糖尿病がすすんだとしても、合併症を発症するリスクは低かったと思われます。
その場合70歳までの医療費はおよそ411万円と推察。

 

糖尿病と判定されたら、医師の指示に従い積極的な姿勢で食事療法や運動、治療に取り組むことが医療費を低く抑えるいちばんの方法といえそうです。

 

参考:たけしの本当は怖い家庭の医学http://asahi.co.jp/hospital_old/shinsatsu/090317.html

 

 

糖尿病の三大合併症

 

では、医療費を増やしてしまう糖尿病合併症とは?
糖尿病は、身体のあちこちに合併症を起こしますが以下の3つが三大合併症と呼ばれています。いずれも高血糖状態が長く続いた場合にリスクが高まりますので、発症を避けるためには血糖値コントロールをしっかり行うことが重要です。

 

目の病気(糖尿病性網膜症)

糖尿病性網膜症は、最悪の場合、失明の危険もあります。
レーザー治療(1回約20万円など)が必要になる場合があり医療費を引き上げる原因になります。

 

腎臓の病気(糖尿病性腎症)

糖尿病性腎症は、透析が必要になる場合があります。現在では新たに人工透析を導入される原因の第一が糖尿病だそうです。人工透析も医療費を引き上げます。

 

糖尿病による手足のしびれなど末梢神経の病気(糖尿病性神経障害)

糖尿病性神経障害は、しびれからはじまり、壊疽(えそ)などが起こることも。
早期発見が治療のカギです。

 

 

参考:京都大学糖尿病・栄養内科http://metab-kyoto-u.jp/to_patient/online/a007.html


 


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